【看護師必見】人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防法:実践的ガイドラインと看護ポイント

人工呼吸器関連肺炎(VAP)
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看護師

人工呼吸器管理で起こる合併症の1つ、人工呼吸器関連肺炎(VAP)について解説します。

臨床工学技士

この記事を見ると人工呼吸器関連肺炎(VAP)の原因や予防、看護のポイントがわかるよ。

本記事のテーマ
  • 人工呼吸器関連肺炎(VAP)とは何か
  • 原因と治療について
  • 予防と看護ポイントについて
  • 看護ケアでオススメの本を紹介

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目次

人工呼吸器関連肺炎(VAP)とは

VAP(Ventilator-associated pneumonia)は、人工呼吸器を装着してから48時間以降に発症する肺炎です。

気管内にチューブを留置することにより、細菌が下気道に侵入することで発症します。

通常、上気道は外部から侵入してくる細菌やウイルスを下気道へ侵入させないための機能があります。人工呼吸器を装着した患者さんは、気管内チューブや気管切開チューブを上気道に留置します。

臨床工学技士

上気道が気管内チューブや気管切開チューブでバイパスされるので、細菌が下気道に侵入しVAPの発症を誘発します。

VAPの種類
  • 早期VAP・・・人工呼吸器を使い始めて4日以内に発生したもの
  • 晩期VAP・・・5日以降に発生したもの
看護師

ICUでは3~4%の患者がVAPを発症し、死亡率を20~55%も増加させるというデータがあるよ。

人工呼吸器関連肺炎(VAP) の原因

原因
  1. 上気道の細菌や逆流した胃内容物の誤嚥
  2. 汚染した人工呼吸器回路や回路開放に伴う細菌の吸入
臨床工学技士

それぞれ詳しく説明するね。

上気道の細菌や逆流した胃内容物の誤嚥

看護師

気管内挿管時は口腔内に細菌が繁殖しやすい環境であることを知っておく必要があるよ。

細菌が繁殖しやすい原因
  1. 経口摂取ができないため唾液の分泌が抑制され、オーラルケアが十分に実施できない
  2. 消化管潰瘍を予防する薬剤や早期の経腸栄養によって胃液がアルカリ化し、消化管で繁殖した細菌がチューブを伝って逆行性に口腔へ移動する
  3. 経鼻挿管の場合、副鼻腔炎を合併しやすい
看護師

人工呼吸器管理中、毎日の口腔ケアはVAP予防に最適です。

臨床工学技士

挿管チューブのカフ上部に貯留した分泌物の垂れ込みはVAPの主な要因といわれているよ。

看護師

日頃からカフ圧管理を適切に行い、カフ上部の吸引による分泌物の除去や胃内容物の逆流を予防することが大切です。

汚染した人工呼吸器回路や回路開放に伴う細菌の吸入

細菌が侵入する原因
  1. 人工呼吸器回路内の結露を除去する際の不潔操作(ウォータートラップの廃液操作)
  2. 気管内吸引や人工呼吸器の回路交換などでチューブの接続を外した際の回路内汚染
  3. 用手換気装置の汚染
臨床工学技士

医療従事者が注意することで発症の確立を下げることができるよ。

人工呼吸器関連肺炎(VAP)の治療について

VAPの治療は原因菌を確定する前に抗菌薬を投与することが多いですが、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、その他のグラム陰性菌についてそれぞれ考慮して抗菌薬を決定します。

人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防について

臨床工学技士

VAPは患者の死亡率を上昇させるので、治療よりも発症させないための予防が重要になるよ。

VAPを予防するためには、予防策を単独で行うのではなくできる限り予防策をひとまとめにして行うと良いとされています。

複数の予防策をひとまとめにして行うことをバンドリングと言います。

看護師

VAPの予防はバンドリングを行うことで、VAPの発症率を低下させることができるというデータがあるよ。

臨床工学技士

日本集中治療医学会がVAP予防バンドルを作成しているよ。

予防バンドル
  1. 手指衛生を確実に実施する
  2. 人工呼吸器回路を頻回に交換しない
  3. 適切な鎮静・鎮痛をはかる
  4. 人工呼吸器からの離脱ができるかどうか評価する
  5. なるべく仰臥位で管理しない
看護師

この予防バンドルを実践していればVAPの発症率を低下させることができるはずです。

人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防のための看護ポイント

ポイント
  1. 手洗い、手指消毒の徹底
  2. カフ圧の調整
  3. 吸引
  4. 口腔ケア
  5. 体位の調整

手洗い、手指消毒の徹底

VAPの予防のためには医療従事者の手洗い、手指消毒は非常に重要です。VAPは院内感染になります。

看護師

忙しい時でも、1患者、1手洗い、1手指消毒を徹底しよう。

カフ圧の調整

VAPの予防のためには、カフ圧の調整は重要です。

臨床工学技士

カフ圧が低すぎると気管壁とカフの間に隙間ができて、口腔内からの分泌物が下気道に垂れ込むよ。

看護師

逆にカフ圧が高すぎると気管壁を圧迫して、血流障害を起こすことになるよ。こまめにカフ圧をチェックするようにしてね。

吸引

痰の吸引もVAP予防につながります。

臨床工学技士

頻回な吸引は逆に汚染につながるよ。

看護師

必要最低限の回数で清潔操作を心がけて、痰の吸引をするようにしましょう。

口腔ケア

気管内挿管中の口腔ケアは、挿管の位置がずれてしまうリスクもあるため難しいです。

看護師

VAP予防の為には、気管内挿管中の口腔ケアは頻回に行う必要があるよ。

体位の調整

VAPを予防するためには、体位の調整も重要です。

臨床工学技士

仰臥位にすると口腔内の分泌物が気管内に垂れ込みやすくなるよ。

看護師

VAPを予防するために、側臥位や腹臥位がおすすめです。

臨床工学技士

経管栄養を投与中の患者さんは、胃の内容物が逆流しないように少しギャッジアップ(頭を挙げる)すると良いです。

人工呼吸の看護ケアでオススメな本

看護師

人工呼吸器管理中の患者さんに対して、どんな看護をしたらよいかわからない。

臨床工学技士

そんな悩みを持つのは当たり前だと思います。
実際に看護師さんから同様の質問を受けたことがあります。

悩みを持つあなたに
  • 人工呼吸ケアを勉強するのに役立つ、オススメの本を3冊紹介
  • 実際に現場で働く看護師さんがオススメする本です

まとめ

人工呼吸器関連肺炎(VAP)について
  1. VAPは人工呼吸器を装着してから48時間以降に発症する肺炎
  2. VAPの原因は誤嚥と細菌の吸入
  3. VAPの予防はバンドルをしっかり実践する
人工呼吸器関連肺炎(VAP)

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