HFNC酸素療法って何だろう?
HFNC酸素療法は、ネーザルハイフローやハイフローセラピーなど言い方も様々です。
大人から子供、新生児まで幅広く使用されていますね。
最近では、新型コロナウイルス患者さんにHFNC酸素療法を使用して重症化を防ぐことができたと報告がありました。
もちろん十分な感染対策を行っての使用になりますが・・・。
今回は、HFNCについて簡単に解説していきたいと思います。
- HFNC酸素療法とは
- HFNCの適応基準について
- HFNCの禁忌について
- HFNCの注意点について
本記事の執筆者
HFNC酸素療法とは
しくみ
高流量鼻カニュラ(High Flow Nasal Cannula)酸素療法は、最大60L/minまでの加温加湿されたガスを広径の鼻カニュラで鼻咽頭内に直接投与する酸素療法です。ネーザルハイフローとも呼ばれています。
これまでは経鼻的には通常6L/minの酸素流量が限界と言われていました。
そんな高流量のガスが鼻カニュラから投与されたら、鼻が痛くならないですか?
適切に加温加湿されたガスを投与することで鼻咽頭内の粘膜組織を保護するので痛くありません。
効果
HFNCは様々な生理学的効果をもつことが証明されています。
- 鼻咽頭の死腔のウォッシュアウト
- 呼吸仕事量の軽減
- 繊毛機能の改善
また、健常者を対象にした試験では口を閉じた状態で流量60L/minで投与したところ、約7.5cmH2OのPEEP効果があったと報告されています。
さらに積極的な加温加湿は繊毛機能を改善させ、分泌物を排出しやすくする効果があります。
無気肺の形成を防ぎ、呼吸器感染症のリスクを軽減させることができるので非常に助かります。
HFNCの適応
適応疾患
HFNCは、様々な疾患や場面で用いることができます。
急性呼吸不全の患者さんに対して低酸素血症を改善させる目的で使用されることが多いよ。
人工呼吸器離脱後の呼吸不全を予防したり、気管支鏡中の低酸素血症を予防したりする目的で使用する事もあるね。
対象疾患はARDS(急性呼吸窮迫症候群)やCOPDの急性増悪、間質性肺炎、気管支喘息発作などが多いです。
適応基準
適応基準として、通常の酸素マスクやリザーバーマスクで酸素投与を行っても改善しないことが挙げられます。
詳しく言うと、呼吸困難の増強や頻呼吸、呼吸補助筋の使用などの所見がある場合は適応を考えるよ。
動脈血酸素飽和度(SpO2)が94%以上を維持できない場合も同様ですね。
HFNCの適応基準は、非侵襲的陽圧換気療法(non invasive positive pressure ventilation:NPPV)と共通点が多く場面ごとで使い分ける必要があります。
- NPPVを拒否されている患者さん
- NPPVマスクのフィッティングが難しい患者さん
- 喀痰量が多くNPPVでは排出が困難な患者さん
上記で該当する患者さんには、HFNCを使用する場合が多いですね。
HFNCの禁忌
HFNCの禁忌を一部ですが簡単にまとめました。
- 呼吸停止、もしくはそれに近い状態
- 鼻の外傷、手術後、鼻腔の異常などカニュラの装着ができない場合
- ショック状態や心筋虚血、不整脈、著名な上部消化管出血といった医学的に不安定な状態
- 興奮や非協力的な状態
- 気道保護が困難な状態
- 嚥下障害
上記に示した禁忌に該当する場合は、一般的に挿管人工呼吸器管理の適応と考えます。
他にも、HFNCは吸気時にサポート圧がかからないため、換気補助効果が乏しいことが欠点で挙げられます。
Ⅱ型呼吸不全のような動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が50Torrを超える場合は、HFNCではなくNPPVや挿管人工呼吸器管理が適応になります。
HFNC管理の注意点
HFNC装着中の主な注意点は2つ!!
- 顔の動きや体動によって、鼻カニュラが適切な位置からずれる
- 口呼吸になったりや口が開いた状態が続くと、吸入酸素濃度が低下し効果が得られない
SpO2低下アラームがなったので患者さんを見に行くと、体動で鼻カニュラが外れていたということもあったよ。
HFNCの装置にはアラーム機能がないため、生体情報モニターでしっかり監視する事が重要です。
HFNC、ネーザルハイフローのオススメな本
まとめ
- HFNCを使用する事で、挿管人工呼吸器管理を回避できる可能性がある
- 医師の指示の下、適切にHFNCを使用し生体情報モニターの監視を怠らないよう注意する