臨床工学技士
ICUで働く看護師さんにIABPの
観察ポイントと看護について聞いてみました。
聞いた内容をまとめたけど、わかりにくい表現があったらゴメンなさい。
本記事のテーマ
- IABP挿入中患者さんの合併症について原因と観察ポイント、看護を解説します
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本記事の執筆者
IABPの基礎は下記のリンクから見てね。
【看護師必見】IABPの基礎から応用まで!オーグメンテーション圧って?
IABPの効果やタイミングを正しく理解していますか? 本記事のテーマ IABPとは何か、挿入部位、留置部位を説明します IABPの効果やタイミングを説明します IABPの適応や…
目次
IABP挿入中の看護ポイント
IABPのカテーテルが挿入されている間は、合併症を引き起こさないためにも安静にしておく必要があるので、患者さんの理解と協力が必要です。
IABP挿入中の合併症
IABP挿入中の合併症を紹介するね。
合併症
- 下肢虚血
- 出血
- 血栓塞栓症、臓器虚血
- 大動脈穿孔、大動脈解離
- 感染
- バルーンの破損
1つずつ原因と観察ポイントを解説します。
下肢虚血
原因
- 大腿動脈からのカテーテル挿入により血管の内径が狭くなり、下肢への血流が滞る
観察ポイント
- 下肢動脈の触知または超音波血流計による聴診
- 下肢皮膚温、皮膚色(チアノーゼ)の左右差
- 痛みやしびれ、感覚異常
- 血中カリウム値、乳酸値の上昇
- ミオグロビン尿の出現
看護
- 下肢動脈の触知や超音波血流計の聴診ができない、下肢に痛みがある場合は医師に報告し抜去を検討する必要がある
- 末梢冷感がある場合は、保温を行うことで改善を図る
挿入部位の足先にパルスオキシメーターを使用すると良いですよ。
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出血
原因
- 挿入時の血管損傷、抗凝固薬の使用、血小板や凝固因子の消費による出血傾向
観察ポイント
- 出血部位、出血量の変化
- 皮下出血の有無、範囲が増大していないか
- 挿入部の血腫の有無
- 血中ヘモグロビン値、ヘマトクリット値の低下
- 血中血小板値
- ACTの確認
- 心拍数の増加、血圧低下
看護
- 血腫や皮下出血は範囲をマーキングしておき、拡大がないか観察する
- 挿入部から出血が持続する場合は医師に報告し、圧迫や縫合処置による止血を検討する
- 凝固因子異常や血中ヘモグロビン値の低下がある場合は、輸血を検討する
VA-ECMOと併用してIABPを使用すると出血傾向になりやすいので、注意が必要だよ。
血栓塞栓症、臓器虚血
原因
- カテーテルの影響で血栓が形成される
- 血管壁のアテロームや小血栓の飛来による
- カテーテルの留置位置が足側へ移動することで、腹腔動脈や腎動脈の血流量が低下する
観察ポイント
- 血液データの急激な悪化や腹痛の出現、尿量の急激な減少、血尿など臓器障害の確認
- アシドーシスの増悪
- 末梢循環不全の兆候
看護
- 血栓予防のための抗凝固薬を投与する
- カテーテル留置部位の確認をX線で行い、挿入部を確実に固定する
- 虚血を疑う所見があった場合は速やかに医師へ報告し、各検査を行い原因を特定する
体位変換時は特にバルーンカテーテルの留置部位がずれるリスクが高いから注意してね。
大動脈穿孔、大動脈解離
原因
- カテーテル挿入時のワイヤーなどにより、血管損傷が起こることで発生する
- 蛇行血管への挿入後に発生する
観察ポイント
- 挿入時や管理中に胸背部痛、腹部痛が出現しないか確認
- 急激な血圧変動
- 四肢の血圧差
- 意識レベルの低下
- 血中ヘモグロビン値の低下
看護
- 自覚症状が出現したら速やかに医師へ報告し、各検査で原因を特定する
- ショックバイタル時に対応できるように準備する
- 血圧コントロールを適時行う
IABPのバルーンカテーテル挿入時は注意して観察してね。
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感染
原因
- 大腿動脈からの挿入がほとんどであり、感染されやすい
観察ポイント
- 挿入部位が発赤、腫脹、熱感、疼痛などの感染兆候の確認
- 体温上昇の有無確認
- 白血球数、CRPの上昇
看護
- 手指衛生の徹底
- 挿入部の清潔保持
- 全身、陰部の清潔維持
長期間のバルーンカテーテル挿入は感染リスクが上がるので血液データに注意してね。
バルーンの破損
原因
- 石灰化した大動脈内壁との摩擦で起こる
- 長期間使用に伴う劣化
観察ポイント
- バルーンカテーテル内血液逆流の有無確認
- ヘリウムガスリークアラーム、駆動内圧低下の有無確認
- 拡張期圧の低下
看護
- 挿入下肢の安静を保ち、バルーンカテーテルの屈曲を予防する
- バルーンカテーテル内に血液の逆流を認めた場合は、速やかに医師に報告し抜去の準備をする
ヘリウムガスは血液に溶けにくいので、バルーンの破損はとても危険だよ。
まとめ
IABPの観察ポイントと看護について
- IABP挿入中は安静にしておく必要があるため、患者さんの協力が必要
- 合併症を早期発見するためにも、定期的な観察が重要になる
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