今回は、学生や看護師からの質問が多かったImpella(インペラ)について解説します。
この記事を最後まで読むとImpellaの基本がわかります。
Impellaについて詳しく解説している書籍が少ないので、ぜひこの記事を参考に役立ててください。
- Impellaとは何かを学ぼう
- Impellaの適応や禁忌、長所や短所を知ろう
- Impellaの管理について理解しよう
本記事の執筆者
Impellaとは
一言で表すと、経皮的に導入する事ができる補助循環装置です。
大腿動脈から専用のカテーテルを挿入し、心臓の左心室内にカテーテルの先端を留置します。
左心室内に留置したカテーテルの先端から血液を脱血し、上行大動脈に血液を送血することにより体循環を補助するカテーテル式の血液ポンプです。
カテーテル内にあるインペラと呼ばれる羽根車が回転することにより、左心室内にある吸入部(脱血部)から血液を脱血し、吐出部(送血部)から上行大動脈内に順行性に送血します。
種類
Impella 2.5、Impella CP SmartAssist、Impella 5.0の3種類が販売されています。
数字の部分は送血できる血液流量を表しているよ。
Impella 2.5は最大で2.5L/min、Impella 5.0は最大で5.0L/minを送血することができます。
Impella CP SmartAssistの血液流量は?
Impella CP SmartAssistだけなぜか数字ではありませんが、最大で3.7L/minを送血することができます。
一番選択されている種類はどれですか?
Impella CP SmartAssistが一番選択されています。
Impellaの適応と禁忌
適応
- 心原性ショック
- 薬物療法抵抗性の急性心不全
ECMOの適応と似ているよ。
禁忌
- 大動脈弁を機械弁に置換している患者さん
- 中等度以上の大動脈弁閉鎖不全症の患者さん
Impellaの長所と短所
長所
- 経皮的に導入する事ができる。
- 左心室の圧容量負荷が軽減できる。
- VA-ECMOに比べてImpellaの流量を上げても、左心室の負荷が増大しない。
- IABPに比べて循環補助率は高い。
主に左心室の負荷を軽減させることができます。
Impella5.0は外科的に挿入するよ。
短所
- 位置がズレやすく、脱血不良を起こしやすい。
- 右心系の補助は出来ない。
- ECMOのように人工肺がないので、呼吸補助は出来ない。
- 専用カテーテルが高価である。
左心室の補助はできるけど、右心室の補助はできないよ。
Impellaの管理について
補助レベル
補助レベルとは、Impellaの血液流量を決めるのために設定するものです。
補助レベルを上げるほどImpellaの回転数が増え、血液流量も増加します。
補助レベルはP0〜P9まで設定できます。
補助レベルごとに送血できる血液流量が決まっているよ。
Impella導入時に循環をしっかりと補助したい場合や左心室の負荷を軽減させたい場合は、補助レベルの設定を引き上げます。
心機能が回復し離脱が可能になった場合は、段階的に補助レベルを引き下げていきます。
カテーテルの位置が悪く、補助レベルを上げたくても脱血不良が起きてしまう場合は、やむを得ず補助レベルを下げることもあります。
脱血不良の場合は医師に心エコーをおこなってもらい、カテーテルの位置を調整すると良いです。
位置波形
カテーテルの位置を確認する手段として心エコーの他に、装置のモニターに表示されている位置波形とモーター波形で判断します。
ここで質問です。
Impellaの適切な留置位置は??
カテーテル先端の吸入部(脱血部)が左心室内にあり、吐出部(送血部)が上行大動脈内にある状態が適切な位置です。
その通りです。
カテーテルが奥へ入りすぎ、吸入部(脱血部)も吐出部(送血部)も左心室内に入ってしまうと何の補助にもなりません。
そこで位置波形を見て、カテーテルの留置位置が適切か判断します。
位置波形が大動脈圧波形を示していて、モーター波形が規則正しいパルス状の波形を示していれば適切な位置です。
カテーテルの位置が悪くなると循環補助の効率が下がり、血圧が低下します。突然の血圧低下が認められた場合は、焦らずカテーテルの位置を確認してみよう。
カテーテルの位置が悪くなる→左心室内から脱血する血液が少なくなる→上行大動脈内に送血する血液が少なくなる→循環補助が不十分になる→血圧が低下する
カテーテルの位置が悪くなると上記の流れで血圧が低下します。
まとめ
- Impellaは経皮的に導入することができる補助循環装置である
- Impellaの種類はImpella 2.5、Impella CP SmartAssist、Impella 5.0の3種類
- Impellaの血液流量は補助レベルで設定する
- Impellaのカテーテルの位置は装置のモニターに表示されている位置波形を見て判断する
ImpellaはECMOと併用することもあります。
ECMOについても解説してますのでご覧ください。