DOPE(ドープ)って知っていますか?
人工呼吸器のアラームが鳴ると原因が何か検索すると思います。
ではその検索はどのような手順でどのようにしていますか?
実はみなさんが無意識に行っている原因検索は、DOPEというアプローチ法で行っています。
この記事を最後まで見ると明日から正しいDOPEが実践できるよ。
- DOPEとは何か
- DOPEの意味を理解できる
本記事の執筆者
人工呼吸器のアラームが鳴ったら
人工呼吸器のアラームが鳴った時は次の対応をします。
- 患者の状態(バイタルサイン)について確認する
- バイタルサインに問題があれば、すぐに用手換気装置に切り替える
- 何のアラームか確認し、問題が解決したらアラームを消す
アラームが鳴った時は必ず患者が原因のトラブルなのか、もしくは人工呼吸器が原因のトラブルなのかを判断する必要があります。
用手換気装置について詳しく知りたい方は、下記の記事で解説しています。
DOPEとは
DOPEとは、人工呼吸器アラームの原因検索で使用するアプローチ法です。
アラームが鳴ったら、チューブの位置や閉塞、気胸や機器の不具合を考えなければなりません。その原因検索する行為の頭文字をもじったのがDOPEです。
DOPE=「いきつめ」とも呼ばれていて、4つの意味に分かれています。
い:位置の異常、き:気胸、つ:詰まった、め:メカの異常
それでは1つずつ解説していきます。
DOPEの”D”
DOPEのDはDisplacementのDです。
気管内挿管チューブや気管切開カニューレが正しい場所に位置していないという意味になります。
い=位置の異常
- チューブやカニューレの固定位置を確認し、一回換気量の変化を確認する
- 胸郭の上下運動を確認する
- etCO2センサーの数値を確認する(正常:32~40mmHg)
- 呼吸音を確認する
チューブ位置 | 胸郭の動き | 呼吸音 |
---|---|---|
抜管 | 運動なし | 音なし |
片肺 | 右>左 | 右:あり、左:なし |
食道 | 心窩部の上下運動 | 胃泡音 |
気管内挿管チューブが深く入り過ぎると片肺(右肺)挿管になるから注意しよう。
特に体位変換時はチューブの位置が移動しやすいから要注意!!
DOPEの”O”
DOPEのOはObstructiveのOです。
閉塞という意味なのでチューブの閉塞を疑います。
つ=詰まった
- 吸引を行う
- 患者さんが気管内挿管チューブを噛んでいないか確認する
- 気管内チューブが折れ曲がっていないか確認する
分泌物が貯留している可能性があるので、吸引カテーテルを気管内チューブや気管切開カニューレへ進めよう。
もし屈曲や閉塞があれば吸引カテーテルを進めることができないよ。
DOPEの”P”
DOPEのPはPneumothoraxのPです。
気胸という意味です。
今まではチューブ関連のトラブルを示していましたが、ここでは疾患名がでてきました。
気胸とは何らかの原因で胸膜が破れてしまった状態のことをいうよ。
肺がしぼんだ状態から膨らまなくなるから大変。
胸腔に溜まった空気を早急に抜く必要があるよ。
き=気胸
- 胸郭の上下運動を確認する
- 呼吸音を確認する
人工呼吸器管理中におこる気胸は、緊張性気胸と呼ばれるものがほとんどです。
DOPEの”E”
DOPEのEはEquipment failureのEです。
機械の故障という意味です。
今までは患者さん側のトラブルでしたが、ここでは機械の故障を疑います。
め=メカ(機器)の不具合
- 人工呼吸器回路の流れに沿って回路を確認する
- 人工呼吸器本体を確認する
手で回路を触りながら確認することで、回路リーク、ウォータートラップの緩みや破損、各接続部の緩みや外れを発見することができるよ。
人工呼吸器回路にテスト肺を接続し問題なく作動すれば、機械本体の不具合は除外できるよ。
まとめ
- DOPEは人工呼吸器管理中のアラーム原因検索で使用される。
- DOPEはD:位置の異常、O:詰まった、P:気胸、E:メカの不具合の4つのアルファベットの頭文字からなる。