用手換気について教科書であまり書かれていないので教えてください。
- 用手換気の適応について
- 用手換気装置の種類について
本記事の執筆者
用手換気とは
用手換気装置を用いて、用手的に行う換気補助(呼吸補助)のことです。
緊急事態に備えて医療現場では必ず、用手換気装置を配置しているよ。
用手換気の適応
基本的に人工呼吸器を必要とする患者さんで、きわめて短時間の人工呼吸が必要な場合に使用されます。
具体例を下記に示すよ。
- 気管内挿管後、人工呼吸器の準備が整うまでの間
- 気管内挿管や気管切開を実施している患者さんの搬送時
- 患者さん使用中の人工呼吸器回路交換時
- 患者さん使用中に人工呼吸器が故障した時
- 心肺蘇生法(CPR) を実施している時
- 災害時や停電時
上記でもわかるように医療現場では用手換気を実施する場面が多くあります。
使用用途を理解し、正しい場面で用手換気を実施しましょう。
用手換気装置の種類
用手換気装置はバッグバルブマスクとジャクソンリースの2種類あります。
バッグバルブマスク
バッグバルブマスクは、付属するバッグが自己で膨張する自己膨張式換気装置です。
バッグは外部の空気を取り込んで自然に膨らむため、酸素ガスの供給源がなくても換気が可能です。
その場合は、外部の空気を取り込むので高濃度の酸素を患者さんに送ることができないよ。
ただし、酸素ガスを供給源として高濃度の酸素を患者さんに送ることも可能です。
その際は、付属するバッグに酸素を充填する袋(リザーバーバッグ)を接続して酸素ガス供給装置につなげます。
十分にリザーバーバッグが膨張しているときは、リザーバーバッグ内にほぼ100%の酸素が取り込まれているよ。
リザーバーバッグを接続せずに酸素ガス供給装置につなげて酸素を供給することもできますが、外部の空気も取り込んでしまうため酸素濃度は40~50%程度に低下します。
酸素ガス供給装置につなげて使用するときは、患者さんに高濃度酸素を送るためにリザーバーバッグを接続することが勧められているよ。
また、バッグバルブマスクには一方弁があり、吸気時、呼気時にそれぞれ一方向にしか空気が流れないような仕組みになっています。付属のバッグを押し潰すと患者さんに空気が送り込まれ、開放時に呼気が外に排出されるようになっています。
呼気が付属のバッグ内に逆流することはないよ。
一方弁の組み立て間違いに注意ですね。
- 付属のバッグを押し潰した時に一方弁の抵抗を感じる
- 付属のバッグを押し潰した時に気道抵抗や肺のコンプライアンスが確認しづらい
ジャクソンリース
ジャクソンリースは、バッグバルブマスクと異なり付属するバッグは自己膨張しないため送気膨張式換気装置といわれています。使用時は酸素供給源が必要になります。
十分な酸素ガスを使用することで、患者さんに100%の酸素を送ることが可能です。
また、バッグバルブマスクのように一方弁がないです。
一方弁がないので、呼気に陽圧(PEEP)をかけることができるよ。
肺胞の虚脱を防止することができるね。
付属のバッグを押した時の感覚で、気道抵抗や肺のコンプライアンスがわかる
ジャクソンリースを使用すると、患者さんの肺の状態が手の感覚でわかるよ。
適度な圧や換気量で換気するためには熟練した技術が必要
バッグバルブマスクに比べてジャクソンリースの方が扱いが難しいよ。
まとめ
- 用手換気装置は医療現場では必ず配置されている
- 用手換気装置にはバッグバルブマスクとジャクソンリースがある
- ジャクソンリースは扱いに難しい