IABPの観察ポイントと看護【ICU看護師に聞きました】

IABPの観察と看護
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臨床工学技士

ICUで働く看護師さんにIABPの
観察ポイントと看護について聞いてみました。

看護師

聞いた内容をまとめたけど、わかりにくい表現があったらゴメンなさい。

本記事のテーマ
  1. IABP挿入中患者さんの合併症について原因と観察ポイント、看護を解説します

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臨床工学技士

IABPの基礎は下記のリンクから見てね。

目次

IABP挿入中の看護ポイント

IABPのカテーテルが挿入されている間は、合併症を引き起こさないためにも安静にしておく必要があるので、患者さんの理解と協力が必要です。

IABP挿入中の合併症

看護師

IABP挿入中の合併症を紹介するね。

合併症
  1. 下肢虚血
  2. 出血
  3. 血栓塞栓症、臓器虚血
  4. 大動脈穿孔、大動脈解離
  5. 感染
  6. バルーンの破損
臨床工学技士

1つずつ原因と観察ポイントを解説します。

下肢虚血

原因
  1. 大腿動脈からのカテーテル挿入により血管の内径が狭くなり、下肢への血流が滞る
観察ポイント
  • 下肢動脈の触知または超音波血流計による聴診
  • 下肢皮膚温、皮膚色(チアノーゼ)の左右差
  • 痛みやしびれ、感覚異常
  • 血中カリウム値、乳酸値の上昇
  • ミオグロビン尿の出現
看護
  • 下肢動脈の触知や超音波血流計の聴診ができない、下肢に痛みがある場合は医師に報告し抜去を検討する必要がある
  • 末梢冷感がある場合は、保温を行うことで改善を図る
看護師

挿入部位の足先にパルスオキシメーターを使用すると良いですよ。

出血

原因
  • 挿入時の血管損傷、抗凝固薬の使用、血小板や凝固因子の消費による出血傾向
観察ポイント
  • 出血部位、出血量の変化
  • 皮下出血の有無、範囲が増大していないか
  • 挿入部の血腫の有無
  • 血中ヘモグロビン値、ヘマトクリット値の低下
  • 血中血小板値
  • ACTの確認
  • 心拍数の増加、血圧低下
看護
  • 血腫や皮下出血は範囲をマーキングしておき、拡大がないか観察する
  • 挿入部から出血が持続する場合は医師に報告し、圧迫や縫合処置による止血を検討する
  • 凝固因子異常や血中ヘモグロビン値の低下がある場合は、輸血を検討する
看護師

VA-ECMOと併用してIABPを使用すると出血傾向になりやすいので、注意が必要だよ。

血栓塞栓症、臓器虚血

原因
  • カテーテルの影響で血栓が形成される
  • 血管壁のアテロームや小血栓の飛来による
  • カテーテルの留置位置が足側へ移動することで、腹腔動脈や腎動脈の血流量が低下する
観察ポイント
  • 血液データの急激な悪化や腹痛の出現、尿量の急激な減少、血尿など臓器障害の確認
  • アシドーシスの増悪
  • 末梢循環不全の兆候
看護
  • 血栓予防のための抗凝固薬を投与する
  • カテーテル留置部位の確認をX線で行い、挿入部を確実に固定する
  • 虚血を疑う所見があった場合は速やかに医師へ報告し、各検査を行い原因を特定する
看護師

体位変換時は特にバルーンカテーテルの留置部位がずれるリスクが高いから注意してね。

大動脈穿孔、大動脈解離

原因
  • カテーテル挿入時のワイヤーなどにより、血管損傷が起こることで発生する
  • 蛇行血管への挿入後に発生する
観察ポイント
  • 挿入時や管理中に胸背部痛、腹部痛が出現しないか確認
  • 急激な血圧変動
  • 四肢の血圧差
  • 意識レベルの低下
  • 血中ヘモグロビン値の低下
看護
  • 自覚症状が出現したら速やかに医師へ報告し、各検査で原因を特定する
  • ショックバイタル時に対応できるように準備する
  • 血圧コントロールを適時行う
看護師

IABPのバルーンカテーテル挿入時は注意して観察してね。

感染

原因
  • 大腿動脈からの挿入がほとんどであり、感染されやすい
観察ポイント
  • 挿入部位が発赤、腫脹、熱感、疼痛などの感染兆候の確認
  • 体温上昇の有無確認
  • 白血球数、CRPの上昇
看護
  • 手指衛生の徹底
  • 挿入部の清潔保持
  • 全身、陰部の清潔維持
看護師

長期間のバルーンカテーテル挿入は感染リスクが上がるので血液データに注意してね。

バルーンの破損

原因
  • 石灰化した大動脈内壁との摩擦で起こる
  • 長期間使用に伴う劣化
観察ポイント
  • バルーンカテーテル内血液逆流の有無確認
  • ヘリウムガスリークアラーム、駆動内圧低下の有無確認
  • 拡張期圧の低下
看護
  • 挿入下肢の安静を保ち、バルーンカテーテルの屈曲を予防する
  • バルーンカテーテル内に血液の逆流を認めた場合は、速やかに医師に報告し抜去の準備をする
看護師

ヘリウムガスは血液に溶けにくいので、バルーンの破損はとても危険だよ。

まとめ

IABPの観察ポイントと看護について
  1. IABP挿入中は安静にしておく必要があるため、患者さんの協力が必要
  2. 合併症を早期発見するためにも、定期的な観察が重要になる
IABPの観察と看護

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