これから人工透析をする親戚がいるので基礎を教えてください。
わかりました。
今回は人工透析の基礎をわかりやすく説明します。
- 人工透析とは
- 人工透析の医療費について
- 透析患者さんの食事について
本記事の執筆者
人工透析とは
人工透析と腎臓の役割について
人工透析とは、腎臓の働きの一部を人工的に補う治療法です。
腎臓の役割は、ごはんを食べたり水を飲んだりすることによって体に溜まった余分な水分や塩分、老廃物を尿として体の外に出すことです。
慢性腎臓病になるとこれらの機能が次第に損なわれていき、病気が進行して慢性腎不全となると腎臓の機能回復は見込めず、やがて体にはさまざまな異常が現れるようになります。
むくみや気分不良、食欲低下、意識障害の症状が現れたりするよ。
腎臓の代わりに体に溜まった余分な水分や塩分、老廃物を体の外に排出するのが人工透析です。
人工透析の種類
人工透析には血液透析と腹膜透析という2種類の方法があります。
医師と相談の上、ライフスタイルなどを考えて患者さん自身で選ぶことができるよ。
でも、必要に応じて途中で透析方法を変更しなければならないときもあるよ。
ただし、人工透析は腎臓の機能を回復させる治療法ではないため、途中で腎移植を受けない限りは生涯続ける必要があります。
血液透析(HD:Hemodialysis)
血液透析とは、血液を血管から体の外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析膜を介して余分な水分や老廃物を取り除き、必要な物質を補充して、きれいになった血液を再び体内に戻すことをいいます。
治療時間は1回あたり4〜5時間程度で、1週間に2~3回程度行います。
腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis)
腹膜透析とは、お腹の中にある腹膜の機能を利用して血液をろ過する方法のことをいいます。
腹膜とは、胃や腸などの内臓を覆う薄い生体膜のことです。
腹膜透析では、お腹の中と外をつなぐ専用の管から透析液を注入し一定時間入れたままにします。すると、腹膜の細い血管を介して、老廃物や余分な水分が徐々に透析液へ移動します。
一定時間経過後に、この透析液を体外に排出し新しいものと交換することで、血液が浄化されます。
人工透析の医療費について
1ヶ月の透析治療の医療費は、患者一人につき血液透析では約40万円、腹膜透析では30~50万円程度が必要といわれています。
このように透析治療の医療費は高額ですが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立しています。
公的助成制度の手続きを行うと、透析治療の自己負担額は1か月1万円が上限となるよ。
透析患者さんの食事について
透析患者さんにとって食事は合併症を減らすためにも重要になってきます。
医療従事者や管理栄養士によって決められたカロリーやメニューをきちんと守って食事制限をすることが大切です。食事療法は「食べたいもの」や「好きなもの」を全く食べてはいけないというわけではありません。
カリウム、水分、塩分などを中心に食べる量を制限したり、そのバランスを考えるということです。
カリウムの制限
カリウムは尿に出ていくので透析では高くなりがちです。
高カリウム血症は不整脈の要因となります。高カリウム血症を防ぐために、カリウムの摂取量に気を付ける必要があります。
カリウムは、生野菜、果物、肉類、芋類に多く含まれています。
ドライフルーツには濃縮されたカリウムが多量に含まれているから要注意です。
水分の制限
透析が始まると「体に入る水分量」と「体から出される水分量」のバランスが崩れ、体内の水分は過剰になります。
そのため、飲水量を制限する必要があります。
水分の摂り過ぎに要注意です。
塩分の制限
塩分を多く摂りすぎてしまうと、むくみや高血圧を起こしやすくなり心臓への負担も大きくなります。
また、喉が渇き水分がほしくなり、水分管理が難しくなってしまいます。
塩分控え目を心がけ、調理法や味つけなどでおいしく食べる工夫をしましょう。
人工透析のオススメな本
わかりやすく書いているのでオススメです。
まとめ
- 人工透析は腎臓の役割を代行する治療法です
- 人工透析には血液透析と腹膜透析があります
- 医療費は手続きをすると月に1万円程度です
- 食事はカリウム、水分、塩分に注意しましょう