医療従事者は必ず知っておくべき除細動器について解説します。
- 除細動器について理解できる
- 除細動器の使い方がわかる
- 除細動器の注意点がわかる
本記事の執筆者
除細動器とは
除細動器とは、心臓の筋肉(心筋)がバラバラの動きをして起こる不整脈に対して、体表に2つのパドルを当て心筋に大きな電流を流して本来の心筋のリズムに戻すために使用されます。
- 心室細動(Vf)
- 心室頻拍(VT)
- 心房細動(Af)
心室細動(Vf)って、どんな状態ですか?
心室細動とは、心筋が無秩序に興奮しているため本来の働きである血液を全身に送るポンプ機能を果たしていない状態のこと言います。心停止の状態に近いです。
心電図波形は正常なQRSが認められず、P波、S波、T波も認めません。
パドルって何ですか?
パドルとは、除細動器の電気を体に流す通電部のことです。
電極と思ってください。
そのパドルから出力される電気には、2つの方式があります。
単相性(モノフェージック)と二相性(バイフェージック)です。
違いを簡単に説明します。
単相性は2つのパドル間に電気が1回しか通電しません。
しかし、二相性は2つのパドル間に電気が2回通電します。
意外と簡単な違いですね。
ちなみに2つの方式で出力する電気の強さも違うよ。
- 単相性(モノフェージック) : 360 J
- 二相性(バイフェージック) : 150 J
二相性は2回通電するので、単相性に比べて半分の出力で同様の効果が得られます。
現在の除細動器の主流は、二相性です。
では実際に体に当てるパドルの位置を説明するね。
除細動を行う際に押し付けるパドルの位置は、右上前胸部と左下側胸部で心臓を2つの電極で挟み込むようにします。
もしペースメーカーを植込みされている患者さんの場合は、植込み部にパドルが重ならないように数センチ離してパドルを当てます。
心室細動(Vf)や心室頻拍(VT)は致死的な不整脈なため、早急に除細動を行う必要があります。
除細動を行っても心室細動(Vf)が継続する場合は、VA-ECMOの導入を検討することもあります。
VAーECMOについては下記の記事で解説してます。
除細動器の使い方について
除細動器の使用方法はシンプルで簡単です。
- 除細動器の出力を設定する
- 充電ボタンを押す
- パドルを体に当て、出力する
この3つの手順でおしまいです。
除細動器を使用する時は、パドルに除細動専用のゲルを塗りましょう
除細動器の注意点
除細動器を使用する際に注意することがあります。
- パドルによる熱傷
- 除細動の効率低下
- 電撃(医療者)
パドルによる熱傷
- パドルと体表の接触面積が小さい
- ゲルの量が少ない
- パドルを体表にしっかりと当て接触面積を広くする
- ゲルの量を多くする
除細動の効率低下
- パドルを体表に押し付ける力が弱い
- ゲルを塗っていない
- 体表が汗などで濡れている
- パドルを体表にしっかりと押し付ける
- ゲルを塗る
- 体表を拭く
電撃(医療者)
- 除細動器の出力時に患者さんの体に触れている
- ベッドなどの金属部に触れている
- 除細動器の出力時には患者さんに触れない
- ベッドなどの金属部に触れない
- ゴム手袋を着用する
除細動器を出力する際は、周りのスタッフに声掛けをしてから行うのが基本です。
除細動器の使用後について
除細動器を使用したら、必ず使用後点検をしてね。
- パドルのゲルをきれいに拭き取る
- 本体の清掃
- 記録紙やゲルの補充
- ケーブルに破損がないか確認
- 電源コンセントに接続する
電源コンセントに必ず接続して充電しておこう。
まとめ
- 除細動器は心筋がバラバラに動く不整脈に対して使用する
- 単相性と二相性があり、それぞれ出力の電気が違う
- 除細動器を使用する時は周りのスタッフに声掛けを行う
- 使用後は必ず使用後点検を行う